2007年08月28日

今日の夏見台幼保園 私事ですが…

01私事ですが、文芸春秋季刊秋号「私の仕事 私の生き方」に
私の文章「わが子をフリーター・ニートにしないために」が載っています。

 こちら

私はつねに逆算の思想で
子どもたちの「育ち」を見つめて行きたいと考えます。
すなわち、ゴールをどこに置くのか?
どこに設定するのか、ということです。



02いつか子どもは親元を離れ自立します。
大学受験までは親子二人三脚も可能でしょう。
しかし問題はその後です。

よきパートナーを見つける。
「自分を賭けてもいい」と思える相手、あるいはそんな仕事。
きれい事に聞こえるかもしれませんが、

 「自分の存在を賭けてもいい」

と思える対象を見つけた人は
「幸せな人」といえるのではないでしょうか。

イギリスの小児科医であり精神分析家でもある、D・ウィニコット氏は

 「独りでいられる能力」

の重要性を説きました。
しかしそれには必要な段階を踏まねばならず、
まずはお母さん(あるいは保育者)との接触、1対1の絶対的な関係。
そしてお母さん(あるいは保育者)の目が届くところでの「一人遊び」。
やがてそれは
お母さんがいないところでの「一人遊び」。
そうしてひとり立ちへの準備をしていくといいます。
いつまでも自立できないのは、
この必要なステップを踏んでいないからであり
根本的な親子のスキンシップが重要であると言います。

同じくエリクソンの「ライフサイクル」理論でも
それぞれの年代には経過しなければならない
「発達課題(発達における危機)」があるといいます。
すなわち…

 乳児期(0〜2歳位)は「基本的信頼」
 幼児期(幼稚園にあたる)は「自律性・主体性」
 学童期(小学校にあたる)は「勤勉性」
 思春期は「アイデンティティ(自我)」
 成人期は「親密性」…


先ほど「自分を賭けてもいいという相手・仕事」と書きましたが
それはこのエリクソンのいう「親密性」のことです。
成人期(20〜30代)に、
そんな対象を見つけられることは幸せでしょう。
多くの若い人は

 「自分のことがわからない」
 「自分にあった仕事が見つからない」


という悩みを抱えています。
(別にこれは古今東西一緒だと思うのですが…)

成人期の課題である「親密性」を経過するには
それ以前に、思春期に「アイデンティティ」を固めていかねばなりません。
さらに遡って、学童期に「勤勉性」を養い
さらに幼児期には「自律性・主体性」を
そして結局重要なのは
乳児期の「基本的信頼」に行き着くわけです。
こうした必要な発達のステップを飛ばさないことが重要です。
発達段階に合わせた保育・教育とは
こうしたことを踏まえて取り組むことです。

ではそのステップを飛ばしてしまってきた場合はどうするか。
補わねばなりません。
遅すぎるということはないといいますが
早ければ早いほど、容易だと。
5歳でも必要ならばたくさん「だっこ」をする。
子どもたち一人ひとりの「育ち」を見つめる。
何でもかんでも早ければいいというものではありません。

何かとせわしい現代では

 「年齢に合わせた保育・教育」

が優先され、

 「発達に合わせた保育・教育」

が見逃されがちです。
急がば回れ。
正しくステップを刻むことが
実は一番の近道だったりします。

一つひとつ、確実に。
そんなことを考えています。





Posted by yatsute2006 at 01:24│ 理念